ススのブログ

ロン毛の髭

イギリスとアメリカのロックってなんか音違くない?

  言われてみれば違うよね

 60年代、70年代のロックを語る時って何かとイギリス派とアメリカ派で別れると思うんですけど、イギリスとアメリカのロックって音がそもそも音が違うと思わないですか?

 イギリスはジュわっっっとしてて、アメリカはカラッとしてるっていうイメージなんとなくあると思うんですけど、これが案外思い過ごしじゃないかもしれないんです。このサウンドの違いって実はコンソール(ミキサー)にあるんですよ。

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特に関係ないけどビートルズが使ってたコンソールって一時期レニークラヴィッツ保有してたんですよ。それくらいコンソールは曲の雰囲気に影響を与えます。

 皆さんこんにちは、ススです。こっちはエレクトリックマイルスのTUTUです。

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今日はレコーディングにおいて重要な役割を担うコンソール(ミキサー)について語っていきたいと思います。

 

コンソールってなに?

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 こういうやつです。見たことありますよね?いわゆるミキサーってやつなんですけどレコーディングの専門誌とか専門サイトではコンソールって書いてあることが多いので今日はこの単語だけでも覚えていってくださ〜い。

 この機械はいわゆるミキシングってやつを行う機械なんですけど、要は音を整理して味付けする機械です。部屋片付けたついでにアロマも炊いちゃおうみたいな発想ですね。

 

音の違いにどう関係するの?

 今日は早速本題に入るのですが、この機械の違いが結構音質に影響を与えるんですね。さっきも書いた通り、コンソールは部屋片付けた後アロマを焚くような行為(アロマをたくって漢字はどれ?)なんですけど、人によって片付け方も異なれば焚くアロマの匂いも違いますよね?

 人んちの匂いって結構違うし、よく遊びに行っていてた友達の家の匂いとか無意識的に覚えてたりしますよね。要はそんな具合にコンソール毎に音の違いは存在します。 

 

EQでイギリスとアメリカに差が出る?

 また知らない単語が出ましたね笑 EQ、イコライザーのことです。コンソールって音にいろんな処理、エフェクトを加える機械なんですけどその中の一つがイコライザーです。例えば、ベースだったら低い音が出るし、ギターだったら高い音が出るんですけど実はベースの低い音には高い音の成分も含まれていて、ギターの高い音には低い音の成分も含まれてるんですね。いわゆる倍音ってやつです。なんのこっちゃわからんって人は日本料理を想像してください。日本料理の味付けって、しょっぱい醤油と、甘いみりんと癖の強い酒を混ぜて作られてますよね。単体では味が強すぎるのに混ぜるとちょうどよくなります、甘い味付けだからと言って醤油を抜く訳じゃ無いように、音も、低い音だからと言って高い音が入ってない訳では無いんです。

 EQは様々な音域の成分が含まれている音たちの一部を強調したり、目立たなくする仕事をします。ベースの低い成分を強調したら、ギターの低い成分を目立たなくして、ギターの高い成分を強調したら、ベースの高い成分を目立たなくして....みたいなことをエンジニアはやっています。そして、この強調させたり、目立たなくするやり方もコンソールに積んであるEQによって変わってきます。特に60年代、70年代のイギリスとアメリカでは主流だったコンソールが違ったためサウンドの違いにある大きな違いがありました。また、めんどくさい話になりそうですね笑笑

 

NeveとAPI

またまた、知らない単語ですね笑笑 これは覚えなくて大丈夫です。60年代、70年代イギリスとアメリカで主流だったコンソールが違ったのですが、イギリスではNeve、アメリカではAPIというメーカーのコンソールが主流でした。二つの会社のコンソールには様々な違いがあったのですが、特にEQに大きな違いがありました。

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NeveのEQのイメージ

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APIのEQのイメージ

手書きで申し訳ないんですけど何が違うかわかりますか?Neveの方がカーブが緩やかですよね?二つとも50Hz部分を5dbずつあげたときのイメージ図なんですけどNeveの方は周辺の倍音も一緒に持ち上がっているの対して、APIだと倍音があまり持ち上がっていないですよね。倍音やヘルツを説明するとまた時間がかかるので省略しますが、要は、周りの低い音や高い音をどれくらい一緒にあげるかどうかがNeveとAPIで異なります。

 よく楽器を褒める時に倍音が豊かで〜とか言いますよね。基本的に倍音が出てるとリッチだとかふくよかな音って言われたりします。ドミソとかレファラといったように間隔をあけて音を重ねると綺麗なコードになるのも実は倍音が関係してます倍音って結構音楽的に重要な要素なんです。

 この倍音の取り扱い方が違うことを頭に入れると倍音豊かなNeveが主流のイギリスのサウンドはジュワッとしていて、倍音が控えめなAPI主流のアメリカはカラッとしたサウンドなのなんとなくイメージできますよね?

 60年代、70年代のアルバム聴き比べるとよりわかりやすいです。QueenLed Zeppelin、Beach BoysあたりはNeve, Grateful DeadのAmerica Beautyやプリンスの4uなんかはAPIです。なんとなくサウンドカラーが違うのわかりますよね?

 

それぞれの地域の音

 坂本龍一細野晴臣がインタビューで語ってたのですが、昔はニューヨークはニューヨークの音、東京は東京の音したらしいです。YMOのファーストの日本版とUS版のサウンドの違いって結構顕著ですよね。今と違って昔は一つのメーカーのコンソールでレコーディングからミックスまで行っていたことが多かったのでその地域で主流のコンソールがその地域の音を形作っていたのではないかなと思います。

 ここまで語ってもコンソールが起こす音質変化に懐疑的な人っているんですけど、確かにギター一本に対してオーバードライブのエフェクターをかけて聴き比べしても、各メーカーによる違いを判断するのって結構難しいですよね。コンソールの場合はギター、ベース、ピアノ、ドラム、ボーカルといった全ての要素にEQやコンプ、プリアンプといったエフェクトをかけます。こう考えるとコンソールのキャラクターって結構重要な要素だとは思えないでしょうか?

 

終わりに

 いかがでしたかー、サクッと終わらせるつもりだったんですけど結構長くなってしまいました笑 結構専門的なこと書いたんですけど、要はイギリスとアメリカのロックってやっぱ音違うよねーってことが伝われば幸いです。

 最近僕もAPIのEQを手に入れたので試してみたら結構Neveとキャラクター違ったので記事にしてみました。近年主流のミックスではAPIとNeveを使い分けるのが主流です。例えば低域はスッキリさせたいからAPI、中域は豊かにしたいからNeveみたいな感じです。やってみると結構サウンドが違うので楽しいですよ。

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IK Multimedia. Musicians First